ご挨拶

近年、細菌に関する世間の注目度は、日増しに高まっています。特に、近年の解析技術の進歩による次世代シークエンサー等の登場により、腸内細菌・腸内フローラ(腸内細菌叢)分野の研究が飛躍的に進み、ヒトの免疫力向上・抗がん作用・抗うつ作用・美肌効果・アレルギー抑制等に関わることが示されつつあります。人々の健康志向と相まって、メディアで「フローラ」の文字を見ない日はないほどです。
 一方、腸内細菌とは異なり、ヒトとは相容れない存在である病原細菌に関しても、近年の急速な薬剤耐性化により非常に注視されています。2011年に世界保健機関(WHO)が「耐性菌の拡大は既に深刻な状態にある」との声明を出したのをはじめ、2015 年の世界保健総会(WHA)では、薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プランが採択されました。2年以内の国家行動計画策定を求められたのを受け、日本でも2016年4月5日、我が国初めてのアクションプランが決定され、薬剤耐性菌対策に向けて、世の中は大きく動き出そうとしています。
 一見すると、腸内細菌・腸内フローラ分野と病原細菌の研究分野は大きく異なると思われがちです。しかしながら、ともに細菌関連の内容であるという以上に、腸内細菌叢による病原菌感染防御機構の存在や、病原細菌への抗生物質使用による腸内フローラの乱れの問題等、両者は密接に関わっています。ヒトに有用な菌・害を為す菌を含めた、全ての細菌とうまく「共に助け合って生きていく(共生)」「お互い攻撃し合うことなく共に生存していく(共存)」ための学問が必要です。
そこで、腸内細菌をよりよく利用するための研究・耐性菌感染症の克服に向けた研究をさらに推進するため
(1)腸内細菌の活動を制御することでヒトとのより良い共生関係を構築する
(2)病原細菌の病原性・定着性を抑えることで耐性菌出現を抑制しヒトとの新たな共存関係を構築する
という2つの目的を設定し、研究を進めています。

 

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2018年09月13日
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